ドクターより
杉並区阿佐ヶ谷の歯医者「阿佐ヶ谷ことぶき歯科・矯正歯科」歯科医師の、八尾 翔太(やお しょうた)です。矯正治療には「歯を動かしたい方向に、しっかりと力をかけられるか」という課題があります。通常は奥歯などにゴムやワイヤーを固定し、動かしたい歯を引っ張るのですが、奥歯自体が動いてしまうことも多く、治療が進まない・思った方向へ歯が動かないといった問題が起きることがあります。

こうした課題を解決するのが「インプラント矯正(TAD:Temporary Anchorage Device)」です。小さな専用のアンカースクリューを歯ぐきに固定源として埋め込み、その“動かない支点”を使って歯を効率よく移動させる、最新の矯正技術です。阿佐ヶ谷の当院でも、難症例の改善・治療期間の短縮・仕上がり精度の向上を目的に、必要なケースでインプラント矯正を活用しています。
インプラント矯正とは
インプラント矯正とは、歯科用の小型スクリュー(アンカースクリュー)を顎骨に固定し、そのスクリューを“歯を動かすための固定源(アンカー)”として使用する矯正治療法です。これにより、従来では難しかった歯の移動方向・移動量が実現でき、歯並びと噛み合わせの改善幅が大きく向上します。
※治療に使用するアンカースクリューは、インプラント治療(人工歯根)とはまったく異なる目的・構造です。
インプラント矯正のメリット
インプラント矯正には、従来の矯正では得られなかった多くの利点があります。
1. 歯を正確に動かせる(支点がブレない)
アンカースクリューは固定されているため、歯を動かすための“支点”が一切動きません。これにより「狙った方向に」「正確に」歯を移動できます。
2. 治療期間の短縮が期待できる
従来は奥歯が動かないように補強する必要があり、治療が長引くケースもありました。インプラント矯正では効率よく力をかけられるため、全体の治療期間が短縮されることがあります。
3. 抜歯せずに済むケースが増える
正確に歯を後方へ移動させられるため、「スペースが足りず抜歯が必要」だった症例で、非抜歯矯正が可能になることがあります。
4. 難症例に対応できる
特に以下のような複雑な歯並びに有効です:
- 出っ歯(上顎前突)
- 受け口(反対咬合)
- 前歯の後退が必要なケース
- 臼歯の大きな移動が必要なケース
- 歯の圧下(歯を骨の中へ沈める動き)
5. 前歯の審美性を高く仕上げやすい
前歯の位置・角度は、口元の美しさを左右します。インプラント矯正では細かな調整が可能なため、「横顔」「スマイルライン」「口元の自然さ」の質が大きく向上します。
インプラント矯正の流れ
- 精密検査(CT・X線・口腔内写真)
骨の厚み・位置・神経の走行を確認します。 - 治療計画立案
必要なスクリューの位置・数・移動方向を分析します。 - アンカースクリュー埋入
局所麻酔下で数分程度。痛みはほとんどありません。 - 矯正治療開始
ワイヤー矯正/マウスピース矯正と併用します。 - 定期チェック
歯の移動量・装置の状態を確認します。 - スクリュー除去
必要なくなったら簡単に取り外します。
痛みや腫れはありますか?
アンカースクリューの埋入は、通常の麻酔で十分であり、痛みはほとんどありません。治療後に軽い違和感・腫れが出ることがありますが、多くの場合数日で落ち着きます。抜歯のような大きな外科処置ではありません。
インプラント矯正が向いている方
- 効率よく矯正を進めたい方
- 従来の矯正で動きづらい場所がある方
- できれば非抜歯で矯正したい方
- 前歯の大きな後退・細かい位置調整が必要な方
- 出っ歯・受け口などの難症例の方
インプラント矯正のリスク・注意点
- 炎症が起きるとスクリューが安定しない場合があります
- 歯ぐきの清掃が不十分だと脱落することがあります
- 使用位置によっては頬・唇に違和感を感じる場合があります
- 一時的な痛み・腫れ・圧迫感が出ることがあります
- 全ての症例に適応できるわけではありません
よくある質問(インプラント矯正)
Q. スクリューはどのくらいの大きさですか?
太さは1~2mm、長さ6~10mmほどの非常に小さなものです。
Q. 痛みはどれくらいありますか?
埋入時は麻酔をするため痛みはほとんどありません。治療後の違和感も数日で落ち着きます。
Q. スクリューは治療が終わったらどうなりますか?
役目が終われば簡単に除去できます。再び外科処置のような大きな痛みはありません。
阿佐ヶ谷でインプラント矯正をご検討中の方へ
「難しいと言われた歯並びを治したい」「よりきれいな仕上がりを求めたい」そのような方に、インプラント矯正は大きな力になります。阿佐ヶ谷の当院では、骨の状態・歯の位置・噛み合わせを精密に分析し、必要な場合のみ最適なアンカースクリューをご提案しています。矯正治療について不安なことがあれば、どんなことでもご相談ください。
