ドクターより

メッセージ

杉並区阿佐ヶ谷の歯医者「阿佐ヶ谷ことぶき歯科・矯正歯科」歯科医師の、八尾 翔太(やお しょうた)です。むし歯の治療というと、「削って銀歯を入れる」「痛くなったら神経を取る」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、現代のむし歯治療は、単に悪いところを取り除くだけではなく、「いかに歯を残すか」「いかに神経を守るか」「いかに再発させないか」という視点がとても重要になっています。

歯は、一度削ると二度と元には戻りません。削る量が多くなるほど歯はもろくなり、将来、ヒビや破折、再治療、抜歯へとつながるリスクが高まります。そのため当院では、「MI治療(最小限の侵襲)」「歯髄保存治療」「精密な歯内療法(根管治療)」といったコンセプトを取り入れ、阿佐ヶ谷エリアでできるだけ歯を削らず、神経と歯を長く守るむし歯治療に取り組んでいます。このページでは、むし歯の進行度に応じた治療の考え方や、削る量を最小限に抑えるMI治療、神経を残すための歯髄保存治療、そして神経まで進行してしまったケースで行う歯内療法(根管治療)について、できるだけわかりやすくご説明します。詳細な専門ページ(「むし歯とは」「MI治療」「歯内療法」「歯髄保存治療」など)も別途ご用意しておりますので、併せてご参照ください。


当院の「むし歯治療」に対する基本方針

むし歯治療のゴールは、ただ「今ある穴を塞ぐこと」ではありません。私たちは、阿佐ヶ谷で生活する皆さまの「将来の歯の本数」や「噛める期間」まで見据えた治療を行うことを大切にしています。

  • できるだけ歯を削らない(MI治療の徹底)
  • できるだけ神経を残す(歯髄保存治療の積極的な検討)
  • 必要な場合は精密な根管治療で歯を保存する
  • 見た目・機能・清掃性のバランスを考えた修復方法の選択
  • 治療後の再発リスクを下げる予防・メンテナンスの重視
  • できるだけ痛みや恐怖心に配慮した麻酔・治療環境

むし歯治療は「どの材料で詰めるか」だけでなく、「どれだけ歯を残せるか」「どれだけ再発させないか」という視点が重要です。そのため、同じ虫歯の大きさでも、患者さんの年齢や噛み合わせ、むし歯リスクに応じて治療方法を慎重に選んでいきます。

むし歯治療の基本的な流れ

実際の治療内容はむし歯の進行度や本数によって異なりますが、一般的なむし歯治療は次のようなステップで進みます。

  1. 診査・診断:視診・触診・レントゲン・必要に応じてCTでむし歯の範囲や深さを確認
  2. 治療計画の説明:むし歯の段階(C0〜C4)や考えられる治療方法・選択肢を丁寧にご説明
  3. MI治療・歯髄保存・根管治療の必要性の判断:削る量・神経を残せる可能性を評価
  4. 実際のむし歯除去・修復処置:コンポジットレジン・インレー・クラウンなどで修復
  5. 治療後の噛み合わせ・見た目・清掃性の確認:微調整を行い、快適なかみ合わせへ
  6. 再発予防のためのメンテナンス:定期検診・クリーニング・生活習慣の見直し

その場しのぎの治療ではなく、「長くもつ治療」「次のトラブルにつながらない治療」を目指し、一緒に方針を決めていきます。

できるだけ削らない「MI治療」

小さなむし歯や、初期の段階で発見できたむし歯に対しては、必要最小限だけ削って詰めるMI治療が有効です。歯の健康な部分を残せるかどうかが、その後の歯の寿命を大きく左右します。

必要最小限の切削と拡大視野での精密治療

拡大鏡やマイクロスコープを用いて、むし歯と健康な歯質の境目を見極めながら削ることで、見た目以上に削り過ぎてしまうリスクを減らし、むし歯だけを選択的に取り除いていきます。

コンポジットレジン修復(白い詰め物)

MI治療と相性が良いのが、コンポジットレジン(歯と接着する白い樹脂)によるダイレクト修復です。金属材料とは異なり、材料に厚みを持たせるために大きく削る必要がなく、むし歯を取った分だけを埋めることができます。見た目も自然で、噛み合わせの細かな調整もしやすい方法です。MI治療の考え方や具体的な方法については、「MI治療」の専用ページで詳しく解説しています。

神経を守る「歯髄保存治療」

むし歯が神経に近いところまで進んでいても、炎症の程度や出血の状態によっては歯髄(神経)を残せる可能性があります。その際に検討されるのが「歯髄保存治療」です。具体的には、むし歯によりダメージを受けた表層の歯髄を丁寧に取り除き、残せる部分の歯髄をMTAセメントなどの材料で保護・封鎖します。条件が整えば、神経を残したまま被せ物・詰め物へと移行することができます。歯髄保存治療についての詳しい適応条件や方法、メリット・限界については、「歯髄保存治療」ページをご覧ください。

神経まで進行したむし歯の「歯内療法(根管治療)」

むし歯が深く進行し、神経まで達してしまった場合には、「歯内療法(根管治療)」が必要になることがあります。強い痛みや腫れを伴うこともありますが、適切な根管治療を行うことで、抜歯せずに歯を残せる可能性が高まります。歯内療法では、感染した歯髄や細菌に汚染された根管内の組織を丁寧に除去し、内部を洗浄・消毒した上で、薬剤で隙間なく封鎖します。当院では、マイクロスコープやラバーダム防湿、CTを活用した精密歯内療法に取り組んでいます。くわしい内容は、「歯内療法とは」のページで専門的にご説明していますので、重度のむし歯や神経の治療について詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。

削った後の「詰め物・被せ物」による修復

むし歯を取り除いた後は、欠けた部分を補うために、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)で形と噛み合わせを回復させます。削る量やむし歯の範囲により、選択する修復方法が変わります。

小さなむし歯の場合:コンポジットレジン修復

小〜中程度のむし歯であれば、コンポジットレジンによるダイレクト修復が第一選択となることが多くあります。一度の通院で治療が完了することが多く、歯を削る量も抑えられます。

中〜大きなむし歯の場合:インレー・クラウン

むし歯が広範囲に及んでいる場合や、噛み合わせに大きく関わる部分が失われている場合は、セラミックインレー・クラウンなどで歯全体をカバーし、強度と形態を回復させます。材料の違いについては、「詰め物・被せ物」のページで詳しく解説しています。

痛みに配慮したむし歯治療

「むし歯の治療は痛いのではないか」と不安に感じ、受診を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。しかし、現代の歯科医療では、適切な麻酔と技術によって、むし歯治療の痛みは大きく軽減することが可能です。

  • 細い針や表面麻酔を用いた「痛みに配慮した麻酔」
  • 麻酔薬をゆっくり注入し、圧力による痛みを軽減
  • 患者さんとコミュニケーションをとりながら、ペースを合わせて治療

強い歯科恐怖症や嘔吐反射が強い方には、別途ご相談の上で、より不安を軽減する方法も検討します。

むし歯治療後に大切なこと ― 再発させないために

むし歯治療はあくまで「スタート」に過ぎません。治療後の歯をどれだけ長く守れるかは、その後のケアと生活習慣に大きく左右されます。

  • 定期検診・メンテナンスでのチェック・クリーニング
  • 歯磨き指導(ブラッシング・フロス・歯間ブラシの使い方)
  • フッ素塗布やシーラントなどの予防的処置
  • 間食・飲み物の選び方や摂取頻度の見直し
  • 噛み合わせや歯ぎしりの有無の確認と対策

「治療して終わり」ではなく、「治療した歯を守るところまで」が本当の意味でのむし歯治療です。阿佐ヶ谷で長くご自身の歯で噛んでいただけるよう、当院は治療後のサポートにも力を入れています。

よくあるご質問(むし歯治療編)

Q. しみるだけで痛くないのですが、治療は必要ですか?

しみる症状がある場合、初期〜中等度のむし歯や知覚過敏など、さまざまな原因が考えられます。むし歯がある程度進行していても「冷たいものだけしみて、すぐおさまる」という段階も多いため、自己判断は危険です。小さいうちに発見できれば、削る量も少なく済むことが多いので、早めの受診をおすすめします。

Q. 痛みがなくなったので様子を見ても大丈夫ですか?

強く痛んでいた歯が急に痛くなくなった場合、神経が壊死してしまった可能性があります。一時的にラクになっても、根の先では炎症が進み、腫れや膿の原因になることもあります。症状が落ち着いたとしても、必ず一度検査を受けるようにしてください。

Q. どの治療方法が自分に合っているか分かりません。

むし歯の大きさや位置、噛み合わせ、見た目のご希望、むし歯リスク、今後のメンテナンスの通いやすさなどによって、最適な治療は一人ひとり異なります。当院では、いくつかの選択肢がある場合には、それぞれのメリット・デメリット・将来的な見通しをわかりやすくご説明し、一緒に治療方針を決めていきます。

阿佐ヶ谷でむし歯治療をご検討中の方へ

「この程度ならまだ大丈夫だろう」「忙しいから少し落ち着いたら行こう」と先延ばしにしているうちに、むし歯は静かに進行し、治療が大きく・複雑になることが少なくありません。当院では、阿佐ヶ谷・周辺地域の皆さまに対し、できるだけ歯を削らず、できるだけ神経を残し、将来の歯の本数を守るむし歯治療を心がけています。むし歯の治療方法や費用、治療期間などについて不安や疑問がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。カウンセリング時に現在のお口の状態を丁寧にご説明し、一人ひとりに合った治療計画をご提案いたします。