ドクターより

メッセージ

杉並区阿佐ヶ谷の歯医者「阿佐ヶ谷ことぶき歯科・矯正歯科」歯科医師の、八尾 翔太(やお しょうた)です。予防は、口腔内の健康を守るだけでなく、全身の健康にも大きな影響を与える重要な取り組みです。

定期的な予防ケアを行うことで、将来的な歯の喪失を防ぎ、健康寿命を延ばすことができます。日本と欧米の予防意識の違いや、8020運動の成果、80歳時点での残存歯数の違いを踏まえると、予防の重要性はますます高まるでしょう。予防を日常生活に取り入れることで、歯の健康を維持し、将来的な治療のリスクを減らすことができます。早期からの予防を習慣化し、健康で豊かな生活を送りましょう。

予防の重要性

予防とは、虫歯や歯周病などの歯の病気を未然に防ぎ、歯や口腔の健康を保つことを目的とした歯科医療の一環です。歯科治療は一般的に、問題が発生してからその症状に対応する治療法が中心でしたが、予防はその逆で、問題が発生する前に適切なケアを行い、健康を維持することを目指します。痛みや不調が出る前に定期的なチェックを受けることが、長期的な歯の健康を支える最良の手段です。

1. 予防とは

予防は、虫歯や歯周病をはじめとする歯科疾患を未然に防ぐことを目的にしています。これは、歯科医院で行う専門的な予防処置だけでなく、日常的に患者様自身が行うセルフケアも含まれます。毎日の歯磨きやフロスの使用に加え、定期的な歯科医院での検診やクリーニングが予防の柱となります。

1-1. 予防の役割

予防の役割は、口腔内の健康を維持し、治療を必要としない状態を作ることです。口腔内の病気は進行性であり、特に歯周病は初期段階では症状がほとんどなく、患者様自身で気づくことが難しい病気です。予防の取り組みを行うことで、早期発見・早期治療が可能になり、口腔内の健康を長く保つことができます。

2. 予防の重要性に関する研究

予防の有効性は、多くの研究により証明されています。その中でも、スウェーデンのアクセルソン博士の研究が特に有名です。アクセルソン博士の長期研究では、定期的な歯科受診が歯の健康に大きな影響を与えることが示されています。定期的にプロフェッショナルケアを受けることで、虫歯や歯周病のリスクが大幅に低減されることが明らかになっています。

2-1. アクセルソン博士の研究結果

アクセルソン博士の研究によると、歯科医院での定期的なチェックとケアを受けた患者は、受けなかった患者に比べて、虫歯や歯周病の発生率が大幅に低いことがわかっています。特に、スウェーデンの歯科制度では、定期的な予防ケアが習慣化しており、成人から高齢者まで幅広い層で健康な歯を維持することが可能になっています。

2-2. 定期的なケアの効果

予防における定期的なケアには、歯石除去(スケーリング)や歯面清掃(PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)といった処置が含まれます。これらの処置により、歯周病や虫歯の原因となる歯垢や歯石を除去し、口腔内の健康を保つことができます。アクセルソン博士の研究では、これらの定期的なケアが長期的な歯の健康維持に寄与することが確認されています。

3. 日本と欧米の予防意識の違い

日本と欧米では、歯科治療に対する考え方が大きく異なります。特に予防に対する意識に違いがあり、欧米では子どものころから定期的に歯科医院を訪れる習慣が広く浸透しています。

3-1. 欧米における予防意識

欧米諸国では、歯科医療の中心は予防にあります。例えば、スウェーデンでは歯科医療は「予防」が第一とされており、虫歯や歯周病が発生する前に定期的にケアを受けることが重要視されています。幼少期から定期的に歯科を受診することが一般的であり、その結果として高齢になっても健康な歯を維持している人が多いです。

3-2. 日本における予防意識の現状

一方、日本では「治療中心型」の歯科医療が長く続いてきました。痛みや問題が発生してから歯科医院に通うことが一般的であり、予防目的での定期的な通院はまだ普及していません。しかし、最近では「8020運動」などの啓蒙活動により、予防に対する関心が高まりつつあります。

3-3. 歯科予防文化の違い

欧米では、国の政策や学校教育を通じて、子どもたちが早い段階で予防の重要性を学びます。例えば、スウェーデンでは、学校で定期的な歯科検診が行われ、子どもたちが歯のケアを自然に習慣化できる環境が整っています。対照的に、日本では、痛みが発生してから治療に向かう文化が根強く、予防に対する認識が低いのが現状です。

4. 日本と欧米における80歳の残存歯数の違い

4-1. 欧米における残存歯数

欧米の予防が長期的に効果を上げている結果として、80歳時点での残存歯数が日本よりもはるかに多いというデータがあります。スウェーデンでは、80歳以上の高齢者でも20本以上の歯が残っていることが多く、これは予防ケアが徹底されていることの成果です。

4-2. 日本の現状

日本では、80歳時点での残存歯数は平均15本程度と、欧米と比較すると少ないです。しかし、これは「8020運動」の成果であり、数十年前のデータに比べると大幅に改善されています。以前は80歳で10本以下の歯しか残っていないケースが多かったため、予防意識の向上が成果を上げつつあることがわかります。

4-3. 健康寿命と歯の関係

歯が多く残っていることは、単に咀嚼力の維持だけでなく、全身の健康にも影響を与えます。研究によれば、歯の健康は栄養の吸収、運動能力、さらには認知機能にも関与しており、80歳で20本以上の歯が残っている人は健康寿命も長い傾向にあると言われています。

5. 8020運動の成果と今後の課題

5-1. 8020運動とは

「8020運動」とは、1989年に厚生労働省が提唱した、80歳になっても20本以上の自分の歯を保つことを目指す国民運動です。この運動を通じて、日本でも予防への関心が高まり、定期的な歯科受診を奨励するようになりました。

5-2. 8020運動の成果

8020運動の開始以降、日本では歯科の予防意識が向上し、80歳以上で20本以上の歯を持つ人の割合が増加しています。これは、定期検診や歯周病予防、フッ素ケアの重要性が広く認識され、実践されている成果です。

5-3. 今後の課題

しかし、日本ではまだ欧米諸国と比較すると予防の受診率が低く、定期的なケアを受けている人は限られています。さらに予防意識を高め、特に若年層からの予防教育を強化する必要があります。予防の啓蒙活動をさらに進め、国民全体での意識改革を行うことが今後の課題です。

6. 歯科予防ケアの具体的な内容

6-1. プロフェッショナルクリーニング(PMTC)

PMTCは、歯科医院で行う専門的なクリーニングです。通常のブラッシングでは取り除けない歯石や歯垢を専用の機器を使って除去し、歯周病や虫歯を予防します。

6-2. フッ素塗布

フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯予防に効果的です。歯科医院でのフッ素塗布により、歯の再石灰化が促進され、虫歯の発生を抑えることができます。

6-3. シーラント

シーラントは、奥歯の溝を樹脂で覆い、食べ物の詰まりを防ぎます。特に子どもに有効で、虫歯になりやすい奥歯を守るための予防処置として広く行われています。

7. セルフケアと予防の実践

7-1. 正しいブラッシング

毎日のブラッシングは、予防の基本です。しかし、正しい方法で行わなければ、歯垢を十分に除去できません。歯科医院では、患者様一人ひとりの口腔状態に合わせたブラッシング指導を行っています。

7-2. デンタルフロスと歯間ブラシの使用

ブラッシングだけでは取りきれない歯間の汚れには、デンタルフロスや歯間ブラシが必要です。これにより、虫歯や歯周病の原因となるプラークを取り除くことができます。

8. プレジデント誌「歯の定期検診を受ければよかった」

プレジデント誌が実施したアンケートによれば、多くの人が定期検診を怠ったことを後悔しています。治療が必要になる前に定期的なケアを行っていれば、虫歯や歯周病を未然に防ぐことができたと感じている人が多いことが明らかになっています。

9. プレジデント誌のアンケート結果の分析

9-1. アンケート結果の詳細

プレジデント誌のアンケート結果では、特に40代以上の世代から「もっと早く定期検診を受けておけばよかった」と後悔する声が多く寄せられました。これは、若い頃には歯の健康に対する意識が低く、痛みが出てから歯科医院を訪れるという日本の伝統的な治療中心の文化が影響しています。しかし、高齢になるにつれ、失われた歯の大切さを実感し、定期的な予防ケアの重要性を認識する人が増えているのです。

9-2. 予防のタイミング

アンケートからもわかるように、予防は早ければ早いほど良い結果をもたらします。特に30代、40代からの定期的な検診とクリーニングは、将来の健康な口腔環境を維持するための重要なステップです。このタイミングで予防を始めることで、80歳時点での残存歯数や全体的な健康状態に大きな違いが生まれる可能性が高いです。

10. 歯科予防と全身の健康の関係

歯の健康は口腔内だけに留まらず、全身の健康に大きな影響を与えます。特に、歯周病は心臓病や糖尿病、さらには認知症との関連性が指摘されています。口腔内の健康を保つことが、長寿や全身の健康にもつながるのです。

10-1. 歯周病と全身疾患の関連

研究により、歯周病が心血管疾患や糖尿病のリスクを高めることが確認されています。歯周病菌が血流に乗り、全身の炎症を引き起こすことで、動脈硬化や血管障害が進行する可能性があるのです。したがって、歯周病を予防することは、全身の健康を維持するためにも重要です。

10-2. 認知症との関連性

近年の研究では、歯周病と認知症の関連も指摘されています。口腔内の炎症が脳に影響を及ぼし、認知機能の低下を招く可能性があるとされています。高齢者にとっては、歯の健康を維持することが、認知症予防にもつながるため、定期的な歯科受診が推奨されています。

11. 日本における予防の普及状況

11-1. 予防の啓蒙活動

日本では、予防に対する啓蒙活動が徐々に広がりつつあります。特に「8020運動」や「健康寿命の延伸」を目標に掲げた取り組みが注目されています。これにより、歯科医院でも予防を前提とした診療が増えており、定期検診の大切さが広く認識されるようになりました。

11-2. 若年層の予防意識の変化

最近では、若年層の予防意識も徐々に高まりつつあります。特に子どもへのフッ素塗布や歯磨き指導など、学校での予防教育が浸透してきており、早期からの予防が重要視されています。これにより、将来の残存歯数がさらに向上することが期待されています。

12. 予防の費用対効果

12-1. 長期的な視点でのメリット

予防の費用は、短期的には治療に比べてコストがかかるように思われがちですが、長期的に見れば治療費の削減や痛みを伴う治療を回避できるため、費用対効果は非常に高いです。定期検診やクリーニングを行うことで、治療にかかる費用を大幅に抑えることができます。

12-2. 保険適用の予防ケア

日本では、定期検診やスケーリングといった予防ケアが健康保険の適用範囲に含まれることも多く、比較的低コストで予防処置を受けることができます。予防に対する投資は、将来の大きな治療費を抑えるためにも有効です。

13. 予防と歯科医師の役割

13-1. 予防の提供者としての歯科医師

予防は、歯科医師と患者様が協力して取り組むものです。歯科医師は、患者様一人ひとりの口腔内の状態を評価し、それに基づいて個別の予防計画を立てます。定期的なチェックアップを通じて、患者様が健康な歯を維持できるようサポートします。

13-2. 患者様とのコミュニケーション

予防の成功には、患者様とのコミュニケーションが欠かせません。歯科医師は、日常のセルフケアや定期検診の重要性を理解してもらい、患者様が積極的に予防に取り組むようサポートします。また、患者様の疑問や不安に対しても適切に答えることで、長期的な信頼関係を築くことが重要です。

14. 予防と将来の展望

予防の重要性が今後ますます認識される中、歯科医療の未来は「治療」から「予防」への転換が進んでいくでしょう。AI技術や3Dシミュレーションなど、先進の技術を活用した予防の発展も期待されています。

14-1. 技術の進化による予防の精度向上

先進のデジタル技術やAIを用いることで、口腔内の健康状態をより詳細に把握し、より正確な予防プランを提供できるようになるでしょう。例えば、3Dスキャンを用いた歯のモニタリング技術により、細かな変化も見逃すことなく、早期に対処することが可能になります。

14-2. 予防の普及と文化の定着

今後、日本でも予防の重要性がさらに広く認識されるとともに、予防文化が定着することが期待されます。学校教育や地域社会での啓蒙活動を通じて、若い世代から高齢者まで予防を日常の一部とすることが重要です。

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