ドクターより

メッセージ

杉並区阿佐ヶ谷の歯医者「阿佐ヶ谷ことぶき歯科・矯正歯科」歯科医師の、八尾 翔太(やお しょうた)です。マイオブレースは、従来の歯列矯正とは一線を画する革新的な治療法です。歯を物理的に動かすだけでなく、口腔筋機能を改善し、歯並びの根本原因にアプローチすることで、長期的かつ持続的な成果を得ることができます。特に成長期の子どもたちにとっては、自然な成長をサポートし、外科的手術を避けつつ、健康的な歯並びを実現できる点が大きな魅力です。

また、口呼吸から鼻呼吸への転換や、姿勢の改善といった付随的な効果も期待でき、全身の健康にも良い影響を与えます。しかし、治療の成功には患者様自身の協力度が必要であり、エクササイズや装置の装着を継続することが求められます。マイオブレースは、特に将来の健康的な歯並びを形成したいと考える親御様にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。歯並びや口腔機能に不安がある場合は、ぜひ一度、歯科医院でのカウンセリングを受けてみることをお勧めします。

マイオブレースとは

「マイオブレース」とは、口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)をベースにした新しい歯列矯正装置です。一般的な矯正治療は、歯を動かして歯並びを整えることを目的としていますが、マイオブレースは、子どもの口周りや舌の筋肉、姿勢の改善を通じて、自然な成長を促しながら歯並びを整えることを目指しています。

特に、呼吸や嚥下(飲み込み)、舌の位置、唇の閉じ方といった口腔機能の改善が、歯並びの乱れに大きく影響を与えることがわかっています。マイオブレースはこれらの機能を正常化させることで、矯正をサポートし、理想的な歯列を作り出します。

1. マイオブレースの概要

1-1. マイオブレースの仕組み

マイオブレースは、口腔内に装着する装置で、主に夜間や一定の時間だけ装着します。昼間の装着時間は約1~2時間とされ、無理のない範囲で続けることが可能です。この装置は、硬さが異なる複数の素材で構成されており、歯列に合わせた適切な圧力をかけると同時に、筋肉のトレーニングをサポートします。

さらに、専用のエクササイズを行うことで、口腔周囲の筋肉、特に舌や頬の筋肉を鍛え、正しい飲み込み方や呼吸の仕方を習得します。これにより、歯列不正の根本原因となる筋肉の使い方を修正し、自然な矯正効果を得ることが可能です。

1-2. マイオブレースの特徴と効果

マイオブレースは、歯を物理的に動かすだけでなく、筋機能を改善することで、長期的かつ持続的な矯正効果を得ることを目指しています。そのため、通常の矯正治療と比べて、治療後の後戻り(リラプス)のリスクが低減されます。また、早期の治療開始が推奨されており、成長期の子どもたちにとって、口腔機能の改善が成長と共に自然な歯並び形成を助けるとされています。

マイオブレース治療は、呼吸機能の改善にも寄与します。口呼吸を鼻呼吸に矯正することは、口腔内の乾燥を防ぎ、歯肉や歯の健康を保つためにも重要です。さらに、鼻呼吸を習慣づけることで、アレルギーや睡眠時無呼吸症候群の改善効果も期待されます。

2. マイオブレースが適用される主な症例

マイオブレースは、特に成長期の子どもを対象とした治療法ですが、特定の症例において特に効果が期待できます。以下に、マイオブレースが適用される代表的な症例を挙げます。

2-1. 口呼吸

口呼吸は、口腔機能に多大な影響を与え、歯列不正の原因ともなります。口を常に開けていることで、歯が前方に押し出され、上顎や下顎の成長が歪んでしまうことがあります。マイオブレースは、口呼吸を鼻呼吸に矯正することで、適切な歯の位置を保つことをサポートします。

2-2. 舌の低位

舌が正しい位置にない、つまり舌が下がった状態にあると、上顎が正しく成長せず、歯並びに悪影響を与えることがあります。マイオブレースでは、舌の位置を改善し、正しい位置に舌を置くことで、上顎の自然な成長を促進します。

2-3. 咬合不全(噛み合わせの不良)

咬合不全は、上下の歯が正しく噛み合わない状態を指します。マイオブレースは、口腔周囲筋の改善により、適切な噛み合わせを形成します。特に、前歯が噛み合わない「開咬」や、奥歯が噛み合わずに前歯だけが噛み合う「過蓋咬合」の改善に効果が期待できます。

2-4. 姿勢の不良

マイオブレースは、姿勢の改善にも寄与します。舌や口の筋肉の使い方が悪いと、姿勢にも悪影響を与え、特に首や肩に負担がかかることがあります。正しい口腔機能の回復を通じて、姿勢が改善されることで、全身のバランスも良好になります。

3. マイオブレースの治療の流れ

マイオブレース治療は、個々の患者様の症例に応じてカスタマイズされた治療計画に基づいて行われます。治療の流れは以下の通りです。

3-1. 初診と診断

まず、歯科医師が患者様の歯列と口腔機能を詳細に診断します。診断には、視診や触診に加えて、口腔内スキャナーやデジタルX線を使用し、歯列の詳細なデータを収集します。これにより、患者様の歯並びの状態や口腔機能の問題を正確に把握します。

3-2. 治療計画の立案

診断結果を基に、歯科医師は患者様に最適な治療計画を立案します。マイオブレースの使用期間や、必要なエクササイズの内容が決定されます。また、治療期間中に予測される進行状況や、治療後の歯並びのイメージを患者様と共有します。

3-3. マイオブレースの装着

治療計画に基づき、マイオブレース装置が作成され、患者様に提供されます。装着方法や、日々の使用時間、エクササイズの具体的な内容について、歯科医師が丁寧に説明します。装着時間は、主に夜間と日中の1〜2時間程度が基本です。

3-4. 定期的なチェックアップ

マイオブレース治療では、定期的な歯科医院でのチェックアップが必要です。治療が計画通りに進んでいるかを確認し、必要に応じて装置やエクササイズの内容を調整します。通常、1〜2ヶ月ごとの定期的な通院が推奨されます。

4. マイオブレース治療のメリットとデメリット

4-1. メリット

1. 自然な歯並びの形成

マイオブレースは、口腔筋機能を改善することで、歯列不正の根本原因にアプローチし、自然な歯並びを形成することが可能です。成長期の子どもにとって、無理なく健康的な歯並びを作り上げることができるため、長期的な効果が期待できます。

2. 外科的手術が不要

通常の矯正治療では、重度の不正咬合や顎の問題に対して外科的手術が必要な場合がありますが、マイオブレース治療では、外科的手術を回避することができる場合

も多く、自然な成長を促進するために、外科的手術を避けたいと希望する親御様や患者様にとって非常に魅力的な選択肢となります。

3. 呼吸機能の改善

マイオブレース治療のもう一つの大きなメリットは、呼吸機能の改善です。口呼吸から鼻呼吸への転換をサポートし、健康的な呼吸パターンを身に付けることができます。これにより、口腔内の乾燥や歯肉の健康を保つだけでなく、睡眠時無呼吸症候群や慢性的なアレルギー症状の軽減が期待できます。

4. 治療の柔軟性

マイオブレースは、ワイヤー矯正のように常時装着する必要がなく、主に夜間と日中の一部時間に装着すればよいため、患者様の日常生活に大きな負担を与えることがありません。特に、学業やスポーツ活動が盛んな子どもにとって、治療中でも生活の質を維持することができます。

5. 装置の見た目が気にならない

マイオブレースは、従来の矯正器具とは異なり、目立たないデザインとなっています。そのため、装着中に他人に気付かれることが少なく、外見を気にする子どもやティーンエイジャーにとっても負担が少ないです。

4-2. デメリット

1. 患者様の協力度が求められる

マイオブレース治療の成功には、患者様の協力度が非常に重要です。装置の装着時間や毎日のエクササイズをしっかりと実行することが求められ、これを怠ると治療の効果が十分に得られない場合があります。特に、子どもが治療に積極的に参加することが必要です。

2. 適用症例に限りがある

マイオブレースは主に成長期の子どもを対象とした治療法であり、骨格の成長が終了した成人に対しては、その効果が限定的です。また、非常に重度の不正咬合や顎の骨の形状に大きな問題がある場合、マイオブレース単独では対応できないことがあります。その場合、他の治療法と組み合わせる必要があります。

3. 結果が現れるまで時間がかかる場合がある

マイオブレース治療は、成長過程を利用して歯列と口腔機能を改善するため、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。特に、患者様の年齢や症例によっては、数年にわたって治療を継続する必要がある場合があります。

5. マイオブレース治療の推奨年齢

マイオブレース治療は、特に成長期の子どもに対して効果が高いとされています。推奨される開始年齢は、通常6歳から15歳までの子どもで、この時期は顎の骨や顔面の成長が盛んに行われているため、筋機能の改善と共に歯列が自然に整う可能性が高くなります。

早期治療を開始することで、歯列不正の原因となる口腔機能の問題を早期に改善し、矯正治療の期間を短縮することができます。特に、乳歯が抜け、永久歯が生え揃う前後の時期に治療を開始することが望ましいとされています。

6. マイオブレース治療後のケアとメンテナンス

6-1. 治療後のメンテナンス

マイオブレース治療が完了した後も、歯並びや口腔機能を維持するためには、定期的なチェックとメンテナンスが必要です。治療後の後戻りを防ぐために、場合によってはリテーナー(保定装置)を装着し、歯が新しい位置に定着するまで安定させることが推奨されます。

また、治療中に習得した正しい口腔機能や姿勢を維持するために、日常的に口呼吸を避け、鼻呼吸を続けることが重要です。定期的な歯科検診を受け、必要に応じて追加のエクササイズやトレーニングを続けることも、長期的な成果を保つために不可欠です。

6-2. 治療後の経過観察

治療後も、歯列や口腔機能の経過を観察することが大切です。治療後数年以内に成長期が続く場合、口腔内や歯列に変化が生じることがあります。そのため、定期的な通院を通じて歯科医師のアドバイスを受けながら、問題が生じないか確認することが重要です。